【キングダム】対趙、黒羊丘攻略戦

   

 

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目次

第442話【似た物同士】辺りから黒羊(コクヨウ)の物語は始まる。

 

信(しん)は飛信隊(ひしんたい)を引き連れて、桓騎軍(かんきぐん)との合流地である拡ミンに到着した。そこにはすでに桓騎軍(かんきぐん)が野営の陣を張っていた。貂(てん)は信に桓騎軍(かんきぐん)は友軍ではあるものの、警戒するように促す。

飛信隊(ひしんたい)は桓騎軍(かんきぐん)の陣営の中を歩くが、そこには住人から略奪したものを身につけている歩兵や娼婦がいたり、捕虜を斬首したりとその雰囲気は飛信隊(ひしんたい)とは大きく異なっていた。

信達一同は桓騎軍の本営に到着する。桓騎(かんき)は元下僕、元野盗の似た者同士仲良くやろうと言い、飛信隊(ひしんたい)の援軍に感謝の意を示すものの、飛信隊(ひしんたい)の青臭いやり方には残念だと言い、桓騎軍(かんきぐん)に来たからには桓騎軍(かんきぐん)のやり方に従ってもらうと言う。

それは勝つために略奪、虐殺などやりたいことは全てやることであった。そして、いい機会だから大人の戦いを覚えていけと信(しん)に言う。

 
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第443話 【化物達の出陣】

 

桓騎軍(かんきぐん)本陣から戻ってきた尾平(びへい)は女がいるということと急かされたこともあり、そのまま桓騎兵に連れられていった。

翌日、その桓騎兵(かんきへい)が信(しん)を訪れ、隊員の入替を提案する。桓騎兵(かんき)は桓騎軍ではいつもやっているやり方であり、互いの軍を理解し合わないとうまく戦えないからだと説明する。桓騎の戦いは早く、変化するため、飛信隊本陣に意図の分かる者が入らないと連携が取れないと理由を話す。桓騎兵は千人将の那貴(なき)と名乗り、端で静かにしているから心配ないと語る。そして、その後桓騎軍五万、飛信隊八千の合計五万八千は趙国黒羊丘(ちょうこくようきゅう)攻略に向けて出発した。

黒羊(こくよう)地帯まで80km離れた趙の離眼城(りがんじょう)では城主の紀彗(きすい)が出陣のため城内を進んでいた。紀彗(きすい)の部下は桓騎(かんき)も化物であれば 紀彗(きすい)も化物であり、さらにもう一人傑物が来ると話す。紀彗が城外に出ると慶舎(けいしゃ)が待ち構えていた。慶舎(けいしゃ)は今回の戦の総大将であった。副将を紀彗(きすい)に任せ、慶舎軍(けいしゃぐん)四万、紀彗軍(きすいぐん)三万の合計七万の趙軍(ちょう)も黒羊(こくよう)へ向け出陣した。

 
 

第444話【城無き占領】

 

信(しん)達の眼の前には見渡す限りの密林が広がっていた。羌?(きょうかい)は密林の中では作戦が立てにくいため、迂回すべきと意見するが、貂(てん)はここが今回の戦場の黒羊(こくよう)だと話す。そこに桓騎(かんき)からの召集がかかる。信(しん)は貂(てん)と羌?(きょうかい)を連れて、桓騎(かんき)の野営の陣を訪れる。そこで、桓騎(かんき)の側近である摩論(まろん)から作戦の詳細が説明される。黒羊(こくよう)は広大な樹海であり、落とすべき城はないと説明する。貂(てん)は代わりに五つの丘があると呟き、摩論(まろん)はその通りと答え、五つの丘全てを占拠すれば我々の勝ちだと語る。摩論(まろん)はこの樹海に道を作るべく、二つの矢を放つとし、左は雷土(たいど)、右は飛信隊(ひしんたい)が担当することとなった。

序盤から労せずに三つの丘を手に入れるとした。貂(てん)はそれを聞き、直ぐに出発しようとする。
桓騎(かんき)は信(しん)に重要な役目の片方を与えてやったから、しっかり期待に応えろよと言う。
信(しん)は安心して飛信隊の後ろを進めばいいと言い、慶舎(けいしゃ)の首は俺が取ると宣言する。

飛信隊(ひしんたい)は進軍を進める。貂は羌?に斥候(せっこう)(敵軍の動静・地形などをひそかに探り監視するために、部隊から差し向ける兵)を依頼する。

一方紀彗軍(きすいぐん)の副官馬呈(ばてい)は舟を使い、敵陣左奥の丘近くに辿り着く。そこに物見から飛信隊(ひしんたい)が直進してくるとの報告が入る。そこで、馬呈(ばてい)は劉冬(りゅうとう)と上陸し、飛信隊を急襲する準備に入った。

 

第445話【翻弄の末に】

 

時が要の戦の中、不慣れな地形に手足を阻まれる飛信隊(ひしんたい)。そこは自然の罠がいくつも存在しており、木々や沼などに足を取られていた。足取りを急ぐ貂(てん)に我呂(がろ)は飛ばし過ぎであり、隊が一列に間延びしていると忠告する。貂(てん)は敵と遭遇するのは先であり、羌瘣(きょうかい)の斥候部隊(せっこうぶたい)も先陣を切っているので、問題ないとし、さらに今回は中央の丘が今回の戦いの勝敗を決めるため、それを無血で手に入れられるかは飛信隊(ひしんたい)にかかってるとして、先を急いだ。

そして、飛信隊(ひしんたい)は一つ目の丘を見つける。貂(てん)は後から来る桓騎軍(かんきぐん)右翼が占拠するため、ここは素通りするとした。その時、信(しん)と貂(てん)は秦側の丘が劉冬(りゅうとう)に取られたことを目の当たりにする。

 
 

第446話【意表をつく策】

 
広大なる戦場にのぼる異変の煙。それを見た桓騎(かんき)は飛信隊が趙軍(ちょうぐん)に丘を獲られたことを認識する。信(しん)は馬呈(ばてい)と激しい打ち合いを繰り広げていた。馬呈(ばてい)の重い一振りに信(しん)は矛で受け止めるものの、乗っていた馬の骨が折れる。馬呈(ばてい)は信(しん)が二度も戦斧(せんぷ:武器用として作られた斧)を受け止めたことに驚く。そこに楚水(そすい)の部隊が現れる。馬呈(ばてい)はそれを見て、次は大軍で来るから楽しみにしてろと言い残し、その場を去った。
 

慶舎(けいしゃ)と紀彗(きすい)は丘に上がった狼煙を見て、作戦がうまくいったことを認識する。 

貂(てん)は飛信隊(ひしんたい)だけで丘攻めをしようとする。しかし、丘自体に 趙軍(ちょうぐん)はいなかったのである。馬呈(ばてい)と劉冬(りゅうとう)の目的は丘をとることでなく、飛信隊(ひしんたい)の足止めであったのだ。これにより、飛信隊(ひしんたい)が攻略すべき右翼は中央より手前側に前線を作らざるを得ない状況となった。

 
 

第447話【総大将動く】

 
程なくして雷土(らいど)側の戦場も動き出していた。
 
そこに突然騎馬に乗った桓騎(かんき)が現れる。そして、左翼を進むゼノウ一家の方に向かう。
 
趙軍(ちょうぐん)本隊は中央の丘の麓まで来ていた。慶舎(けいしゃ)は先に占拠すべく、進軍する。
一方、桓騎(かんき)はゼノウのところまで到着し、ゼノウにお前の力で雷土(らいど)を叩きのめしてこいと言う。
 
 

第448話【戦場の匂い】

 

黒羊丘(こくようきゅう)の攻防戦は序盤、飛信隊(ひしんたい)が趙軍(ちょうぐん)の奇襲を受け、秦軍(しんぐん)は苦戦を強いられていた。飛信隊(ひしんたい)は馬呈(ばてい)、劉冬(りゅうとう)の巧みなゲリラ戦術に苦闘し、前線を押し返せずにいた。そして、慶舎(けいしゃ)のいる本陣から程ない場所で歓声があがった。そこではゼノウ一家と雷土(らいど)の部隊が趙軍(ちょうぐん)を蹴散らしていた。その脇に中央の丘を確認する。その大きさは山に近く、それを砦化したら手も足も出なくなってしまう状況であったため、桓騎(かんき)は奥の手のゼノウ一家を序盤で使ったのであった。

趙軍(ちょうぐん)本陣に右翼前線が崩壊したと伝令が入る。そこに中央先鋒隊より丘に登る準備ができた報告が入る。丘を登る趙軍(ちょうぐん)を雷土(らいど)は確認する。雷土(らいど)は麓で登り待ちをしている軍の横腹を食い破るべく、ゼノウを率いて軍を展開する。しかし、その攻撃を慶舎(けいしゃ)は読んでいた。岳嬰隊(がくえいたい)に木を倒させ、道を塞いだ。また、ここで、慶舎(けいしゃ)は自ら出陣し、桓騎軍と刃を交える

 
 

第449話【蜘蛛(クモ)の罠】

 

桓騎軍(かんきぐん)は慶舎(けいしゃ)の奇襲を止められずにいた。慶舎(けいしゃ)は後続も余すとこなく叩くことにより、頭と分断させようとした。精鋭部隊を率いた慶舎(けいしゃ)は中央丘の裾を斜めに走り、一気に樹海の地を飛び越えた。そして、雷土隊(らいどたい)を追っていた尾平(びへい)達二列目を真横から奇襲。この奇襲により、二列目は完全に足止めされ、前方の雷土(らいど)、ゼノウ隊は後続を失い孤立する。さらに慶舎軍(けいしゃぐん)右翼の各隊は次々とその雷土隊(らいどたい)の方へ行軍しており、雷土(らいど)、ゼノウ隊は気付かぬ内に孤立、板ばさみ状態に陥っていたのだ。

慶舎(けいしゃ)の副将金毛(きんもう)はその様子を見て、李牧(ちぼく)が本能型の蜘蛛(クモ)と例えていたことを話す。糸で巣を張っている恐ろしい蜘蛛(クモ)。敵が近づくと知らぬうちに絡め取られて骸(ムクロ)になる。その結果、初日から桓騎(かんき)は片腕を失う羽目になったとつぶやいた。

この分断の危機は桓騎(かんき)の予想を大きく越えた事態であった。だが、慶舎(けいしゃ)も一つだけ予測していない部分があった。雷土(らいど)、ゼノウの二人は元野盗ならではの知恵を持っていたのである。

 
 

第450話【野盗の意地】


泥沼の状態における元野盗の知恵。それはまず、雷土(らいど)がゼノウに対し火兎の笛を鳴らせと叫ぶ。それを聞いた桓騎軍(かんきぐん)は我先にと逃げ去った。火兎の笛は彼らが野盗団であった頃から修羅場では何度も耳にした笛の音で、その意味は絶体絶命、完全包囲てあり、もはや隊ごとの伝令、号令は不要、この音さえ聞けば野盗時代に戻り、逃げるだけ。その様子が軍の退却の姿とはあまりにもかけ離れていたため、岳嬰(がくえい)はその無様(ぶざま)な姿に山猿であると嘲笑った。
ところが、野盗時代、秦軍(しんぐん)に追撃されながらも捕まらなかった桓騎兵(かんきへい)は逃げのプロでもあり、その経験から最も生還率が高いと生み出された撤退方法が味方を気にせぬ個の、逃げ方だったのだ。集団で追ってくる敵の的となればひとたまりもないが、その間、他の多くが逃げる時間となる。そして何より倒れた仲間をも踏みつけていくその逃走は追撃してくる敵兵が目を疑うほどの速さであった。また、もう一つの利点としては頭がいなかったため、将がどこに逃げたのかわからないということであった。夕暮れ時、雷土(らいど)とゼノウは中央丘の麓で偶然落ち合った。そして、ゼノウは考えることは同じようだなとつぶやき、雷土(らいど)もそれに同意する。二人は造営中であった中央丘の趙軍(ちょうぐん)を急襲し、焼き払ったのだ。雷土(らいど)は元野盗団の桓騎軍(かんきぐん)はヘマをうったとしても手ぶらでは帰らないと豪語する。慶舎は燃え盛る趙軍(ちょうぐん)をじっと見つめていた。
 
 

第451話【黒羊の夜】

 

趙軍(ちょうぐん)による奇襲で苦境に立たされる秦軍(しんぐん)。そして、戦場に夜が訪れる。

飛信隊(ひしんたい)の夜営地本陣では桓騎(かんき)の部下兵より信(しん)に対し、初日の大失態により斬首に処すと言い渡されるが、信(しん)は最後は敵将慶舎の首をとって黒羊(こくよう)の戦いを勝利に導くとして逃れる。

信(しん)と貂(てん)は夜襲よりも羌瘣(きょうかい)が戻ってこないとこが気になっていた。

その頃、羌瘣(きょうかい)達一行は自らの位置を確認していた。羌瘣(きょうかい)達は趙軍(ちょうぐん)本陣の深くまで入っており、完全に孤立していた。現在敵の後ろ側にいる、この好機を逃さず背後を突けば・・・。羌瘣(きょうかい)は目の前に広がる隙のない敵陣の夜営を見ていた。羌瘣(きょうかい)は万の軍の敵将の首を犠牲なしで討てる好機であり、飛信隊(ひしんたい)のために無茶をするのだと諭す。難しくはあるが、勝算がないわけでもない、一千年前からこういう暗殺をやってきている一族の出であるからなと言い残し、単身、趙(ちょう)の陣営に乗り込んでいった。

 
 

第452話【強襲の成否】

 
初戦の激しい戦闘から一転、静寂に包まれる黒羊(コクヨウ)の夜。羌瘣(きょうかい)は趙軍(ちょうぐん)の中心にある劉冬(りゅうとう)の天幕まで辿り着く。劉冬(りゅうとう)は羌瘣(きょうかい)の気配を察知し、誰だと問う。羌瘣(きょうかい)は劉冬(りゅうとう)の姿を見て、命を貰うぞ趙将(チョウショウ)と告げ、剣先を劉冬(りゅうとう)に向けた。
劉冬(りゅうとう)は事前に持っていた情報から羌瘣(きょうかい)の正体を突き止める。そして、秦軍(シングン)を黒羊(コクヨう)の先へ行かすわけにはいかんとし、剣を抜く。しかし、劉冬(りゅうとう)と羌瘣(きょうかい)の間、ちょうど首の辺りに糸が仕掛けられていることに気づく。速度の上がった羌瘣(きょうかい)は直前で首を上げ、皮一枚切るものの、何とかかわす。体勢は大きく崩れ、この好機を見逃さなかった劉冬(りゅうとう)は羌瘣の胸をめがけて一刀を振り下ろす。それを喰らった羌瘣(きょうかい)は高台から落ちていった。
 
 

第453話【進軍の終着地】

 

羌瘣(きょうかい)の強襲は両者痛み分けとなったが、高台から落ちた羌?(きょうかい)の傷は深かった。劉冬(りゆうとう)は間をおかずに部下に羌?(きょうかい)を捕らえるよう指示する。

信(しん)の方は桓騎(かんき)からの今度飛信隊が失敗したら、砂鬼の一家(さきのイッカ:ゼノウ一家とともに恐れられている桓騎(かんき)軍の中でも残虐さは一番と言われている一家)を信(しん)の元に送ると脅しをかけられていた。

黒羊(コクヨウ)の二日目の戦いが始まる。二日目、飛信隊(ひしんたい)は順調に軍を進めていた。しかし、河了貂(かりょうてん)は趙軍(チョウグン)の力を軽いと感じており、違和感を感じていた。最前線の信(しん)が茂みを抜けるとそこには川を挟んで反対側の岸に万全の陣容で馬呈(ばてい)が待ち構えていた。岸辺の戦いでは陸地にいる方が十倍力を増すと言われており、飛信隊(ひしんたい)はここでも苦境に立たされることになる。

 

第454話【軍師の底力】

 

川で阻まれた前線を進めるため、川を渡ろうとするが、川は深く、渡ろうとしても胸の位置まで浸かり、趙軍(チョウグン)の矢の格好の餌食になるだけで、その状況を打破するのは困難を極めていた。河了貂(かりょうてん)は橋も舟もない戦況に焦りをつのらせていた。そして、一度陣営まで後退した飛信隊(ヒシンタイ)の将達に河了貂(かりょうてん)は川を見に行くと告げ、飛信隊(ひしんたい)の中で漁師を生業とし川に詳しい岐鮑(きほう)を連れて行く。

今日中に中央丘のまで進軍しなければ信(しん)と貂(てん)の首が飛ぶだけでなく、全戦局を左右する大事であり、岸を固めた敵を舟もなしに突破するには特別な作戦が必要だった。全ては軍師にかかっている。

信じて待ってと、信(しん)に言い残し、河了貂(かりょうてん)は出発する。

対岸の馬呈(ばてい)はこの戦術に打開策はなく、絶対の自信を持っていた。ところが、河了貂(かりょうてん)は作戦を練り上げる。それは飛信隊(ヒシンタイ)流の橋を架けることであった。そこで重要な役を任されたのが渕(えん)さんであった。

 
 

第455話【主攻なる助攻】

 

河了貂(かりょうてん)はこの川のどこかで足が届く浅瀬が対岸まで続く場所があると考えていた。岐鮑(きほう)に見てもらうと予想通りそれらしい場所が二ヶ所存在した。この二ヶ所に兵を集中させて突破しようとした。

正面凹地を攻める敵の注意が信(しん)達に集中した隙に、もう一つの川底の道を貂(てん)と楚水(そすい)が渡る作戦で、こちらの対岸は凹地とは真逆の凸地のため、攻めるには上策の地であった。ところが、貂(てん)はこの二手ではこの川は突破できないと予測しており、あらかじめ三手目を用意ていた。そこは底が見えない程、水深が深く、激流、加えて対岸が険しい絶壁という悪条件が重なる場所だった。しかし、悪条件過ぎてそこには敵の布陣はいなかった。

岐鮑(きほう)はその激流を命からがら泳ぎきり、川に縄を張った。まずは泳ぎが得意な土南(?)が渡ろうとするが、川の流れがあまりに強く、そのまま流されていってしまった。それを見た渕(えん)さんたちはしりごんでしまう。そこに上流から赤い血が流れてくる。それは上流で身を呈して戦っている飛信隊(ひしんたい)のものであった。それを見た渕(えん)さんは改めて気合を入れ直し、再度挑戦するのであった。

 
 

第456話【副長の責任】

 

河了貂(かりょうてん)が練った作戦は渕(えん)さん達が激流の川を対岸まで渡り、凹地の右端の敵の背を打ち、その隙に、信(しん)達が右岸に上陸、一気に敵を制圧し、後続への道を確保するというものであった。

渕(えん)さんは厳しい渡河を続けている最中、水が容赦なく、口に入り、苦しく咳き込んでも綱は絶対に離さなかった。渕(えん)さんは信(しん)はバカそうに見えて、意外と策略家だと思っていた。それは信(しん)に信頼を置けると言われたら、成し遂げぬわけにはいかなかったからだ。信(しん)や羌瘣(きょうかい)みたいな化け物ではない渕(えん)さんだからなせる業もあったのだ。

信(しん)達は趙軍(ちょうぐん)の格好の的になっていた。盾もヒビが入り、極限に近い状態に陥っていた。しかし、趙軍(ちょうぐん)の矢は途切れずガンガン打ち込まれる。我呂(がろ)は限界であり、一旦下がろうとするが、信(しん)はそれを却下する。その時、趙軍(ちょうぐん)の右岸から渕(えん)さんが現れた。

 
 

第457話【執念の渡河】

 

奇襲攻撃になるはずだったが、激流を執念で渡ってきた渕(えん)さんの隊に余力は残されてなく、弾き飛ばされる。任務はまだ終わっていないと立ち上がり、趙兵(チョウヘイ)を一人も通さないと身を盾に、立ち塞がる。趙軍(ちょうぐん)は一気に渕(えん)さんに集中攻撃を仕かけるが、間一髪のところで、信(しん)の一刀が趙兵(チョウヘイ)を切り裂いた。そして、一気に趙軍(チョウグン)に突撃していく。

馬呈(ばてい)は劉冬(りゅうとう)が無手といったこの川を飛信隊が渡りきったことに驚きを隠せなかった。岸に横陣を敷いていた趙軍(チョウグン)は飛信隊の進行を止めることはできず、森へ散って退がった。渡河に成功した飛信隊(ヒシンタイ)であったが、川を背にしているため、急な趙軍(チョウグン)の反撃を警戒するが、軍師役の劉冬(りゅうとう)が不在であったため、反撃の機を逃したのであった。そして、その後、勢いにのった飛信隊(ひしんたい)はさらに前方に進軍し、趙軍(チョウグン)の前線を壊滅した。

 
 

第458話【離眼の御印】

 

激戦となった雷土(らいど)率いる桓騎軍(かんき)左翼の戦場は二日目、初日とはうって変わって両軍動かず、密林を挟んで睨み合いとなっていた。前線はちょうど中央丘の真横で、ほぼ互角の位置にあった。ノウは雷土(らいど)に対してなぜ動かぬと詰問するが、雷土(らいど)はお頭の命令だと言う。趙軍(チョウグン)も動いていないことから、慶舎(けいしゃ)の指令が出ているとゼノウは推測する。そして、黒羊(コクヨウ)の戦いの勝敗に直結するという中央の丘では二日目から丘の傾斜に沿った陣取り合戦が始まっていた。左半円の摩論(まろん)と金毛(きんもう)の戦いは開戦後すぐに激戦となったが、力は互角で、前線は微動だにしなかった。一方、右半円の戦いは桓騎軍(カンキグン)側が優勢で前線を押し込んでいた。その指揮は黒桜(こくおう)がとっていた。黒桜(こくおう)は趙軍(チョウグン)の戦法を逆手に取り、兵法にのっとらない戦いで相手を翻弄していた。しかし、紀彗軍(キスイグン)の海剛(かいごう)将軍はこれ以上兵を失うと危機的であり、援軍要請すべきという進言を紀彗(きすい)様に負担をかけられないと却下した。一方、快進撃を続ける黒桜(こくおう)に飛信隊(ヒシンタイ)の敵前線突破の報告が入る。黒桜(こくおう)は桓騎軍(カンキグン)の助力もなしに敵の主力部隊を打ち破ったことに後方の憂いはないと判断し、黒桜(こくおう)自ら先頭に立ち、敵に総攻撃をかけようとする。その時銅鑼(ドラ)が戦場全体に鳴り響く。そこには紀彗(きすい)が旗を持ち、凛々しく立っていた。その姿を見た趙兵(チョウヘイ)は泣いて紀彗(きすい)と叫び、士気が一気に最高潮まで高まった。黒桜(こくおう)は紀彗(きすい)が登場しただけで、士気が高まった状況から、風向きが変わることを警戒し、守備的隊形に変更する。

そして桓騎(かんき)は紀彗(きすい)の登場を遠くから見ていた。

 
 

第459話【闘志の伝染】

 

紀彗(きすい)の登場により、趙軍(チョウグン)は息を吹き返す。そこに桓騎軍(カンキグン)千人将の角雲が現れ、趙軍(チョウグン)の勢いを止める。しかし、さらにそこに紀彗(きすい)が崖を勢いを増しながら下ってくる。そして、その紀彗(きすい)に角雲はあっさり討ち取られたのであった。

その様子を黒桜(こくおう)は遠くから見ており、地形の見方を改める必要性を感じた。そこに趙兵(チョウヘイ)が崖の上から襲いかかる。しかし、黒桜(こくおう)はすかさず弓を引き、趙兵(ちょうへい)を返り討ちにする。黒桜(こくおう)は再び戦場に視線を送る。そして、この状況から全軍退却の判断を下す。

それは正に電光石火の逆転劇であった。黒桜(こくおう)の判断の早さにより、失った兵数が多くなかったこと、紀彗(きすい)という第二の存在に気づいたことがせめてもの救いとなった。二日目の戦いはほぼ互角のような形で幕を下ろしたのである。

二日目の夜、信(しん)は羌瘣(きょうかい)がまだ帰ってきていないことを心配していた。羌?(きょうかい)はある村の小屋の一室で生死の境を彷徨っていた。

 
 

第460話【飛信隊(ヒシンタイ)の楔(クサビ)】

 

黒羊戦(コクヨウセン)三日目。飛信隊(ヒシンタイ)と相対していた馬呈(ばてい)は巧妙な飛信隊(ヒシンタイ)の攻撃に翻弄されており、後方に押し込まれていた。そこに劉冬(りゅうとう)が現れる。劉冬(りゅうとう)の顔色は青白く、まだ十分に回復していない様子であったが、立て直しを図ろうとしていた。飛信隊(ヒシンタイ)の陣営では部隊長を集まり、各部隊の武功の連続で沸き立っていた。しかし、河了貂(かりょうてん)は前線の押し込みはここまでとし、右の有利な戦況を全戦場に広げるため、九割の飛信隊(ヒシンタイ)を中央の丘の攻めに向かわせると決める。

一方、馬呈(ばてい)、劉冬(りゅうとう)軍では飛信隊(ヒシンタイ)の移動を物見が確認していた。劉冬(りゅうとう)はその動きを見て、秦(シン)のキレものは桓騎(かんき)だけではなく、飛信隊(ヒシンタイ)の軍師もまたキレものだと感じていた。

紀彗(きすい)は目前に迫った飛信隊(ヒシンタイ)を見つけ、劉冬(りゅうとう)、馬呈(ばてい)を苦境に追い込むほどの実力を認め、自軍の三割を下方功防線に回さざるを得なかった。そして、この時、軍の力と注意が割かれ、つけ入る隙のなかった紀彗軍(キスイグン)に歪みが生じたことは紀彗(きすい)本人にも相対す黒桜(こくおう)にも分かった。

そして、この場にいた指揮官全員が同じことを考えたのであった。この瞬間を桓騎(かんき)が逃すはずがないと。

 
 

第461話【黒羊(コクヨウ)の大一番】

 

飛信隊(ヒシンタイ)が作り出した趙軍(チョウグン)打倒の絶好の好機。黒桜軍(コクオウグン)は桓騎(かんき)の命令が来次第、すぐ行動できるよう行軍の用意をしていた。この時、桓騎軍(カンキグン)は絶好の好機にあり、どのような手段を使っても間違いなく戦果を望める状況であった。それ故、桓騎(かんき)がどのような手でくるのかわからなかった。河了貂(かりょうてん)は桓騎(かんき)は頭脳で勝負する将軍であり、策を我流で生み出す天才と評していた。

桓騎(かんき)が口を開く。「オギコを呼べ」!?

紀彗(きすい)は飛信隊(ヒシンタイ)への防備を固めていた。しかし、秦軍(シングン)がどう動いてくるかわからない戦況、外を固めすぎずに柔軟性を保たせていた。劉冬(りゅうとう)、馬呈(ばてい)が加われば飛信隊(ヒシンタイ)の脅威は半減するが、それは桓騎(かんき)も分かりきっているため、時との勝負であった。紀彗(きすい)は劉冬(りゅうとう)達が加われば反転攻撃の可能性もあると踏んでいた。

慶舎(けいしゃ)は丘の上で桓騎(かんき)の匂いを探していた。足音や鼓動が聞ければ、桓騎(かんき)を狙える。そして、今まさに両軍の主要な眼が桓騎(かんき)に集中し、その動きを待っていた。

しかし、桓騎(かんき)は一切何もせずに三日目を終わらせたのであった。

 
 

第462話【困惑の夜】

 

黒羊丘(コクヨウキュウ)攻防戦三日目、飛信隊(ヒシンタイ)が作り出した逆転の好機。しかし、この絶好の機会を桓騎(かんき)は無視した。そのふるまいに将兵達の心に困惑の炎が灯る。

この絶好の機会を演出した河了貂(かりょうてん)は怒りを桓騎兵の那貴(なき)にぶつける。那貴(なき)は俺にあたるなといなすが、貂(てん)の怒りは一向に収まらなかった。だが、桓騎(かんき)は無駄なことは好まぬはずだ・・・。

黒桜(こくおう)は摩論(まろん)の陣を訪れる。この戦いの鍵を握る人物は底知れぬ力をもつ紀彗(きすい)であると感じていた。このようなことはよくあることだから桓騎を信じて戦うまでとした。

 
 

第463話【離眼(リガン)の悲劇】

 

老婆は眼を覚ました羌瘣(きょうかい)に離眼の悲劇を語り出した。羌瘣(きょうかい)はこの離眼(リガン)の悲劇を聞くと桓騎(かんき)という相手は最悪の巡り合わせに思えた。

黒羊(コクヨウ)三日目の夜は不気味なほど静かにふけた。そして、黒羊(コクヨウ)最大の激戦となる四日目の朝焼けは鮮血のように赤かった。その主戦場となるのは紀彗軍(キスイグン)の陣地である。

 
 

第464話【焦(ジ)れの限界】

 

四日目の早朝、桓騎(かんき)からの伝令が信(しん)の元に届いた。伝令は飛信隊にその場に踏みとどまるようにと桓騎(かんき)の命令を伝えた。運命の黒羊丘(コクヨウキュウ)攻防戦、四日目が開戦した。

しかし、桓騎(かんき)は相変わらず動かなかった。そのため、戦場はまた困惑の空気で包まれた。飛信隊(ヒシンタイ)の後方は馬呈(ばてい)の攻撃に苦戦していたため、少しづつ主力を後に回していった。飛信隊(ヒシンタイ)の戦線以外は前日と同じこう着状態が続いていた。

一方、慶舎(けいしゃ)は苛立ちで目を血走らせていた。慶舎(けいしゃ)は動きを捕捉させない桓騎(かんき)に屈辱を感じていた。慶舎(けいしゃ)の苛立ちは焦れの限界を超え、動かぬのなら右翼の飛信隊(ヒシンタイ)を狩ると、飛信隊(ヒシンタイ)に対し、自ら先頭に立ち総攻撃をかけた。

その動向を桓騎(かんき)は笑みを浮かべながら見ていた。

 
 

第465話【掌上の戦場】

 

秦軍(シングン)絶好の機会から一転、飛信隊(ヒシンタイ)は全滅の危機へ落ちていった。慶舎(けいしゃ)は飛信隊(ヒシンタイ)を壊滅させるべく、突撃をかける。慶舎(けいしゃ)は飛信隊(ヒシンタイ)の中央に押し込んでくる。河了貂(かりょうてん)は慶舎(けいしゃ)が飛信隊(ヒシンタイ)を分断し、後方の楚水(そすい)、渕(えん)さん達のところまで貫き、崩壊させる意図を察知する。河了貂(かりょうてん)は信(しん)に対して、何としてでも止めろと指示を出す。信(しん)はわかってると返し、元?公(ひょうこう)兵の岳雷(がくらい)と我呂(がろ)と共に止めに入るが、長くは持たない可能性があった。

信(しん)の前に怒りに満ちた慶舎(けいしゃ)が現れる。慶舎(けいしゃ)は李牧(りぼく)が桓騎(かんき)と並べて名指しであげた標的であるため、確実に信(しん)の首を狩り取れと命令を出す。それは李牧(りぼく)がついに信(しん)を脅威と認識した証拠であった。

河了貂(かりょうてん)は退却の指揮をとるとした。劉冬(りゅうとう)は慶舎(けいしゃ)の動きをみて、飛信隊(ヒシンタイ)を葬る気であると気づき、飛信隊(ヒシンタイ)の取り巻きにかかる。

紀彗(きすい)はその様子を見て、飛信隊(ヒシンタイ)が一溜まりもなく、殲滅(センメツ)されるだろうと思った。しかし、それでも紀彗(きすい)は気づき始めていた。実はこの時、慶舎(けいしゃ)の出陣に胸騒ぎを覚えたものが紀彗(きすい)の他にもう一人いた。それは長年側近を務める金毛(きんもう)であった。桓騎(かんき)が動き出した気配はなかったのにもかかわらず慶舎(けいしゃ)が動いたのは明らかに焦(ジ)れであり、絶好の機会ですら、動かず気配を消し続けた桓騎(かんき)に苛立っていたのだろうと感じていた。そして、金毛(きんもう)はこの慶舎(けいしゃ)の出陣を見て桓騎(かんき)がほくそ笑んでいるとしたら、最悪だと感じていた。

そして、その予想は的中していたのだ。桓騎(かんき)はりんぎょくと共に並んでいた。りんぎょくは捕まえた敵兵の情報では慶舎(けいしゃ)は沈黙の狩人であり、待ちの達人で敵は張り巡らされた罠に気付かず先に動いて絡めとられる、結局いつも慶舎(けいしゃ)の手の平の上で踊らされて敗れるとと吐いた。しかし、桓騎(かんき)はそういう奴に限って最後は桓騎(かんき)の手の平の上で踊らされて殺されると笑いながら、答える。さらに沈黙の狩人だと、あっさり血相を変えて動きやがってザコがと締め括った。そして、その時、黒桜(こくおう)の陣にゼノウが現れ、通過しようとする。

 
 

第466話【李牧(りぼく)級の男】

 
趙(チョウ)軍総大将慶舎(けいしゃ)の突撃により、飛信隊(ヒシンタイ)は全滅の危機に瀕していた。信(しん)も我呂(がろ)も慶舎軍(ケイシャグン)の猛威を止めることができず、圧倒的な劣勢となっていた。そして、ついに飛信隊(ヒシンタイ)は分断されてしまう。隊後方では河了貂(かりゅてん)が指揮を執っていたが、劉冬(りゅうとう)の包囲布陣に対し、弱点を見出せずにいた。、一点集中突破で包囲の外に出ることで全滅を避けようと考えた。信(しん)のいない後方では楚水(そすい)しか頼れる者はいなかったため、楚水(そすい)の元に兵力を集めようとする。しかし、楚水(そすい)の元に馬呈(ばてい)が襲いかかり大斧(センプ:いくさおの)をまさに振り下ろそうとしていた。そこに楚水(そすい)の兵が割って入り、身を盾にしたことで、楚水(そすい)は死の危機から脱する。
 
丘の麓で飛信隊(ヒシンタイ)が絶体絶命の死闘を繰り広げていた、その時、丘の中腹でも動きが変わっていた。突然現れたゼノウ一家が紀彗(きすい)の布陣の中を暴れまわったのである。何重もの固い守りで防御された紀彗軍(キスイグン)が抜かれたには二つの理由があった。一つはゼノウ一家の恐るべき破壊力であり、もう一つは紀彗(きすい)の本陣を守るべく設計しつくされた布陣を、ゼノウ一家は本陣に目もくれず斜めに横切ったからである。戸惑った兵達と同じように紀彗(きすい)も固まってしまった。しかし、次の瞬間、その動きの意図に気づいた時に戦慄を覚えた。ゼノウ一家の標的は丘の下に出てしまった慶舎(けいしゃ)だったのだ。
 
慶舎(けいしゃ)の兵達は突然現れたゼノウ一家を食い止めようとするが、その恐るべき破壊力を止めることはできなかった。そして、ついに慶舎(けいしゃ)の目の前にゼノウが現れる。
 
丘の陣取りの好機に桓騎(かんき)が動かなかったのはふざけていたのではなく、慶舎(けいしゃ)を討つ仕掛けだと気付いた金毛(きんもう)は元野盗如きが李牧(りぼく)並の戦術眼を持つことに悔しさを感じたが、まだ間に合うと後軍を丘の反対側に回し、慶舎(けいしゃ)を助けに行こうとする。しかし、それを防ぐべく、摩論(まろん)が全軍で金毛軍(キンモウグン)を攻め立てたのだ。
 
 

第467話【狩られる側の風景】

 

黒羊丘(コクヨウキュウ)攻防戦四日目、ゼノウ一家に包囲され、慶舎(けいしゃ)壊滅寸前となっていた。桓騎(かんき)はその光景を遠くから眺めていた。桓騎(かんき)は慶舎(けいしゃ)が主力を飛信隊(ヒシンタイ)分断に出したのも予想通りと豪語し、「しっかり目に焼き付けて死ね、それが狩られる奴の景色だ」と慶舎(けいしゃ)を見下し、笑っていた。

一方、紀彗(きすい)は崖を全力で駆け下り、ゼノウ一家に突撃をかけていた。紀彗(きすい)は個々の力はゼノウ一家が上であると判断し、士気で上回るために、頭であるゼノウに向かって、突っ込む。しかし、紀彗(きすい)はゼノウの大岩に振り払われる。紀彗(きすい)は矛で受け止めるものの、矛は折れ曲り、負傷する。それでも紀彗(きすい)はひるむな離眼兵(リガンヘイ)、とてつもない暴力、このような獣の如き奴らだからこそ、何があっても黒羊(コクヨウ)を抜かせるわけにはいかないのだと叫び、趙兵(チョウヘイ)を激励した。紀彗(きすい)は慶舎(けいしゃ)を包囲網から脱出させ、趙軍(チョウグン)の立て直しを図ろうとしていたのであった。

桓騎(かんき)は紀彗(きすい)の雄たけびに眉をひそめる。それが趙軍(チョウグン)敗退に待ったをかける芽になりうると感じたからである。そして、その紀彗(きすい)の潜在能力に最初に気づいた黒桜(こくおう)がすばやく行動に出た。紀彗(きすい)がいなくなった丘の右半分を奪うべく、全軍突撃の号令を発したのである。これより麓を含めた丘の戦いは灼熱地獄と化す。

 
 

第468話【吉と凶】

 

紀彗(きすい)の機転で急襲の刃が鈍るゼノウ一家。紀彗(きすい)はゼノウ一家に割り込んで入っていったが、劣勢を強いられていた。ゼノウ一家の包囲は予想以上に強く、紀彗(きすい)が率いる精鋭の離眼兵(リガンヘイ)でも乱戦に持ち込むのがやっとであり、慶舎(けいしゃ)の脱出にまでは行き着かないと感じていた。しかし、紀彗(きすい)より少し離れていた慶舎(けいしゃ)は落ち着いていた。部下達にもうすぐ機が訪れると冷静さを取り戻させたのだ。

林の中に潜んでいたゼノウ一家の兵が矢で紀彗(きすい)を狙い、照準を合わせる。まさに矢を放とうとする瞬間、馬呈(ばてい)がその兵を一刀両断。馬呈(ばてい)と劉冬(りゅうとう)が紀彗(きすい)を助けにきたのであった。その機を逃さず、慶舎(けいしゃ)は乱戦を抜けだす。そして、本陣に戻るべく、駆け出した。ゼノウ一家はそれを見て、慶舎(けいしゃ)を追撃しようとしたが、慶舎兵(ケイシャヘイ)がそれを迎撃。

その後、丘の紀彗軍(キスイグン)が黒桜(こくおう)に押し込まれているところに紀彗(きすい)、劉冬(りゅうとう)、馬呈(ばてい)は戻っていった。。

桓騎はその様子を遠くから見ていた。慶舎(けいしゃ)の言葉通り紀彗軍(キスイグン)は慶舎(けいしゃ)、桓騎(かんき)の予想を上回る力を発揮したが、桓騎軍(カンキグン)にも同様に両者の予想しない動きをする者達がいた。それは飛信隊(ヒシンタイ)であった。信(しん)は敵の注意がそれた今、丘の乱戦を放棄して、慶舎(けいしゃ)の首を取りに行こうとしたのである。

 
 

第469話【一瞬の出来事】

 

飛信隊(ヒシンタイ)では信(しん)の慶舎(けいしゃ)の首を取りに行くという言葉に騒ついていた。今の飛信隊(ヒシンタイ)の力で切り崩せるかはやってみないとわからない戦略であった。敵のど真ん中に特攻をかけるような戦法であり、成否に関わらず、瞬殺で済まさなければならない、まさに一撃必勝の作戦だった。

一方、最初に飛信隊(ヒシンタイ)の動きに気付いたのは劉冬(りゅうとう)だった。それはあまりの近さに慶舎(けいしゃ)本陣への伝令部隊と誤認したほどであった。飛信隊(ヒシンタイ)は慶舎軍(ケイシャグン)を切り裂いて突き進む。すでに信(しん)の目は慶舎(けいしゃ)本陣の旗を捉えていた。

 
河了貂(かりょうてん)は士気は高いが、思った以上に手間取っていると感じていた。そして、左上から矢の雨を食らう。劉冬(りゅうとう)の迎撃だった、飛信隊(ヒシンタイ)を食い止めに来たのだ。劉冬兵(リュウトウヘイ)は河了貂(かりょうてん)を標的にして突撃してくる。河了貂(かりょうてん)が趙兵(チョウヘイ)に狙われ、刃が振り下ろされるその瞬間、羌瘣(きょうかい)が趙兵(チョウヘイ)を両断した。
 
 

第470話【俺の背中】

 

鋭く華麗なる巫舞(みぶ)と共に羌?(きょうかい)は飛信隊(ヒシンタイ)に戻ってきた。力の鈍る飛信隊(ヒシンタイ)に再起の息を吹き込む。羌?(きょうかい)は、「私の隊はいるか」と叫ぶ。河了貂(かりょうてん)にここは引き受けるとして、敵将が建て直しを計る前に突っ込めと言う。

そこに信(しん)が近づき、羌瘣(きょうかい)に今まで何してたと問う。羌瘣(きょうかい)は大将首を逃す前に早く行けと急かす。信(しん)は今度は後ですぐに会うぞと言い、後方を羌瘣(きょうかい)に任せる。

元麃公軍乱戦特化兵飛?(ヒヒョウ)は慶舎(けいしゃ)を射程に捉える。我呂(がろ)が突撃するも、慶舎(けいしゃ)の守備兵に返り討ちにされてしまう。しかし、信(しん)は慶舎兵(ケイシャヘイ)をなぎ倒していく。信(しん)は単騎で慶舎兵に割って入っていく。そして、飛信隊(ヒシンタイ)に檄を飛ばす。「野郎ども、へばってんじゃねえ、苦しいなら俺の背を見て戦え、俺だけの背だけ見て追いかけてこい!」。それに反応するかのように、飛信隊は息を吹き返えすのだった。

 
 

第471話【執念の追撃戦】

 
鉄壁な布陣へ裸一貫の突撃。信(しん)の背中が飛信隊の士気と気力を支える。田有(でんゆう)達飛信隊(ひしんたい)は慶舎兵(ケイシャヘイ)をなぎ倒していった。劉冬(りゅうとう)はその様子を見て、慶舎(けいしゃ)を助けに行こうとするが、羌瘣(きょうかい)の緑穂(リョクスイ)が劉冬(りゅうとう)に舞い降り、それを阻む。羌瘣(きょうかい)は劉冬(りゅうとう)の足止めをすべく、一騎討ちに持ち込んだのだ。しかし、劉冬兵(リュウトウヘイ)は劉冬(りゅうとう)と一丸となり羌瘣(きょうかい)を討とうとするが、その素早い巫舞(みぶ)の動きについていけてなかった。さらに羌瘣(きょうかい)の一振りが劉冬(りゅうとう)の左手を捉え、指が飛ぶ。羌瘣(きょうかい)も傷が癒えていない状況であるため、大量の汗をかいていた。
 
信(しん)は矛を振り下ろすが、ついにその矛先は折れてしまう。しかし、信(しん)は剣に持ち替え、突き進む。その士気は衰えていなかった。慶舎(けいしゃ)の元に那貴(なき)ら五人が突然現れ、慶舎(けいしゃ)の首を取ろうとする。しかし、慶舎兵(ケイシャヘイ)の強い防御を突破することができなかった。同時に信(しん)は丘を登りきり、ついに慶舎(けいしゃ)の目前にたどり着く。田有(でんゆう)は信(しん)に雑魚(ザコ)は引き受ける故、総大将は任せたと意気込む。
そしてついに信(しん)と慶舎(けいしゃ)の刃が交わる。
 
 

第472話【狩人の落日(ラクジツ)】

 

信(しん)は刃に満身の力を込め、慶舎(けいしゃ)を斬ろうとする。しかし、慶舎(けいしゃ)の一振りが信(しん)の力量を超えていた。馬ごと吹き飛ばされてしまう信(しん)。河了貂(かりょうてん)は一騎討ちの様子を伺っていたが、慶舎(けいしゃ)は大物であると理解できた。今の趙軍(チョウグン)の五本の指に入るほどであり、それをこの場で討ち取れるのであれば、趙国(チョウコク)にとっては大きな衝撃となると共にに最大級の武功になると確信していた。

信(しん)と慶舎(けいしゃ)の刃が何度もカチあう。その一騎打ちを誰もが固唾を飲んで見守っていた。

信(しん)は満身の一撃を振り抜くが、慶舎(けいしゃ)はそれを受け止め、さらに信(しん)の首筋を斬りつける。その時右前方から趙(ちょう)の援軍が進軍してくるのを捉える。早くしないと飛信隊(ヒシンタイ)が全滅してしまう。

気を取り直して信(しん)が再び満身の一撃を慶舎(けいしゃ)に喰らわすと、今度は剣で受け切れず、肩に傷を負う。それをみた慶舎兵(ケイシャヘイ)が割って入るが、信(しん)はそれを振り払い、さらに慶舎(けいしゃ)の瞬殺の一撃をスレスレのところで受けきる。慶舎(けいしゃ)は間近で信(しん)の目を見て、信(しん)との過去の記憶が蘇る。趙楚(チョウソ)同盟の頃から、信(しん)のことを知っており、李牧(りぼく)と共に信(しん)成長を監視していたが、二人の予想以上に大きく成長してていたとを実感した。その時、信(しん)が振り下ろした満身の一撃が慶舎(けいしゃ)の右肩から胸を斬り裂き、深でを負わせた。

 
 

第473話【歓喜の撤退】

 

慶舎(けいしゃ)は信(しん)との一騎打ちで負った深手に崩れ落ちる。李牧(りぼく)に返ししきれなかった恩義を悔やみつつ、逝ってしまう。信(しん)は右手を高らかに上げ、慶舎(けいしゃ)の首を討ち取ったことを全力で叫ぶ。その雄たけびに飛信隊(ヒシンタイ)は喜び大いに盛り上がる。しかし、趙(ちょう)の援軍が迫り来る中、早々に退却する必要があった。

羌瘣は劉冬(りゅうとう)に緑穂(リョクスイ)を突き刺し、とどめを刺してていた。劉冬(とうりゅう)は地に横たわりつつも羌瘣(きょうかい)に離眼(リガン)へは行かせぬと最期の力を振り絞り告げた。羌瘣(きょうかい)は劉冬(りゅうとう)が案ずるようなことは離眼(リガン)ではさせないと約束を交わし、劉冬(りゅうとう)に偶像(グウゾウ)を返す。劉冬(りゆうとう)はそれを受け取ると逝ってしまった。

そこに趙(チョウ)の兵が迫ってきて、羌瘣(きょうかい)達に斬りかかって来た。羌?(きょうかい)は退却しようとするが呼吸を戻さなければ動けない、趙兵(チョウヘイ)が来るまでに間に合いそうになかった。その時馬に乗った信(しん)が現れ、右腕で羌?(きょうかい)を抱え、疾風の如く走り去った。

慶舎(けいしゃ)討ち死には丘の裏側で行われたため、桓騎(かんき)を始め、まだ誰も気づいてなかった。最初に伝わったのは趙軍(チョウグン)右翼の将金毛(きんもう)と左翼の紀彗(きすい)であった。紀彗(きすい)は慶舎(けいしゃ)と劉冬(りゅうとう)討ち死にの知らせを聞き、その場で叫び、泣き崩れたが、まだこの戦争を終わらせないと決意し、すぐ金毛(きんもう)に頂上に来るよう伝令を走らせる。

 
 

第474話【趙(ちょう)将の正念場】

 

総大将慶舎(けいしゃ)と劉冬(りゅうとう)を亡くし、大きな痛手を受けた趙軍(チョウグン)。

金毛(きんもう)と紀彗(きすい)は丘の頂上で向かい合う。金毛は顔は血の気を失い蒼白しており、黒羊(コクヨウ)から撤退をしようと決断するが、紀彗(きすい)は退却はせぬ、
ここから立て直すのだと金毛(きんもう)に迫る。紀彗(きすい)は何としてでも慶舎(けいしゃ)討ち死にが聞き広がる前に中央丘を死守しようとしたのだ。

桓騎軍(かんきぐん)本陣は趙軍(ちょうぐん)の急な変化に異変を感じていた。りんぎょくは慶舎(けいしゃ)に何かあったのかと疑問を口にするが、桓騎(かんき)はこの戦いの最大の獲物は慶舎(けいしゃ)ではないと言う。桓騎(かんき)はそこに砂鬼(さき)一家を呼んでいた。そして捕虜となった趙兵(チョウヘイ)の尋問を始める。そこから得た情報により、桓騎(かんき)はこの戦の勝利を確信する。

そして、黒桜(こくおう)と摩論(まろん)は黒羊丘より撤退し、丘を趙軍(チョウグン)に明け渡せという命令を聞く。

 
 

第475話【動揺のその先】

 

桓騎軍(カンキグン)の前には中央丘を制した趙軍(チョウグン)のたくさんの旗が風になびいていた。桓騎(かんき)が中央丘争奪戦を放棄したことにより、桓騎軍(カンキグン)の陣内には困惑と怒気が漂っていた。。

紀彗(きすい)と金毛(きんもう)は丘の頂に立ち、桓騎(かんき)の動きを推し計っていたが、紀彗(きすい)は黒羊(コクヨウ)はこの中央丘を手にした者が勝者となることは間違いなく、夜を徹して丘を砦化することにより、明日以降絶対に丘へ登らせぬと強く決意する。明日一日桓騎軍(カンキグン)の攻撃をかわし、砦化が進められれば、この中央丘は不落となり黒羊戦(コクヨウセン)に勝利できると確信していた。

黒羊戦(コクヨウセン)五日目の朝は紀彗(きすい)も金毛(きんもう)も全く予期していなかった光景から始まる。
金毛(きんもうと桓騎(かんき)は黒羊(コクヨウ)の森の至る所から煙が上がっているのを目にする。

信(しん)は夜通し敵から逃げまわり、戻ると丘が趙軍(チョウグン)に取られていることに驚きを隠せないでいた。

 
羌瘣(きょうかい)は煙が上がっている方向を見て、苛立ちを感じた。
 
 

第476話【煙の真実】

 
黒羊(コクヨウ)に上る煙を目の当たりにし、無我夢中で森を走る羌瘣(きょうかい)。敵と遭遇する危険をも顧みず、疾走する。
 
紀彗(きすい)も丘の上から煙が上るのを見つけるが、桓騎軍(カンキグン)の動向は認識できていなかった。
 
信(しん)達は羌瘣(きょうかい)の後を追うとある集落に辿り着く。桓騎軍(カンキグン)が村人の死体を荷車に積み上げているところであった。羌瘣(きょうかい)は荷車の死体の中に世話になった老婆を見つける。桓騎兵(カンキヘイ)は全部お頭の命でやっただけだと話す。それを聞いた信(しん)と羌瘣(きょうかい)は怒りの矛先を桓騎に向かわせた。
 
 

第477話【矜持(キョウジ)の咆哮(ほうこう)】

 
残忍さの限りをつくした情景を怒りの眼で見つめる信(しん)と羌瘣(きょうかい)。火球の如く桓騎(かんき)の元へ馬を走らせる。
 
桓騎(かんき)本陣に信(しん)と羌瘣(きょうかい)が行き着き、桓騎(かんき)を怒鳴りつける。桓騎(かんき)は信(しん)を見て、生きていやがったのか面倒くせーのがと呟く。
 
そして、一悶着の後、桓騎(かんき)は高らかに笑い出し、信(しん)を指差し、参った、お前が今まであった中で一番悪党だと言い放つ。
 
 

第478話【殴り込みの末】

 
桓騎(かんき)は信(しん)に対して、中華統一が幸福の世と言いたいのだろうが、それこそ極悪人の所業であり、敵国が抵抗できなくなるまで殺し、奪い尽くすことで、喜ぶのは秦人(シンビト)だけだと断言する。加えて狂った正義感を振りかざすのが一番タチが悪いと続ける。
 
信(しん)敵軍が関係していれば女や子供まで皆殺しにしていいのかと問い質す。
 
信(しん)と桓騎(かんき)の反目の対立が起きてしまうのだった。
 
 

第479話【尾平(びへい)の叫び】

 
尾平(びへい)は桓騎兵(カンキヘイ)からもらった水晶がもとで、信(しん)から勘当されてしまった。
 
桓騎(かんき)はシラけたなと呟き、信(しん)にもう行っていいぞと関心を失くしていた。信(しん)はまだ話は終わってないと激しい目つきで見据えるが、桓騎(かんき)はもうすでに村焼きはすべて終わった、これから先はなく、気が変わる前に失せろと返すのだった。
 
 

第480話【尾平(びへい)と飛信隊(ヒシンタイ)】

 
兵の交換で、尾平(びへい)を桓騎軍(カンキグン)に送り込んだ那貴(なき)のはからいで、尾平(びへい)は信(しん)に許され飛信隊(ヒシンタイ)に復帰することになる。
 
そして、黒羊(コクヨウ)五日目は中央丘を占拠し、砦化を進める趙軍(チョウグン)に対して、秦軍(シングン)は内輪揉めで半日を費やしてしまったが、この五日目の残り半日で黒羊(コクヨウ)戦は大きく動くことになるのだ。
 
 

第481話【苛烈な贈物】

 
趙軍(チョウグン)は中央丘の砦化を順調に進めていたが、そこにいた物見が何かに気付き、紀彗(きすい)の元に駆け寄る。桓騎(かんき)からの贈物と伝文が届いたのだ。紀彗(きすい)と馬呈(ばてい)は麓まで下り、砦の外まで出て行くと・・・。
そこには弓状の巨像が置かれていた。そこには何百もの黒羊(コクヨウ)の民の女、子供達の死骸がくくり付けるられていた。
それを見た紀彗(きすい)は驚愕し怒りに震える。そして、部下より桓騎(かんき)からの伝文を聞く。敬愛なる名将紀彗(きすい)殿へ、副将ながら獅子奮迅の活躍お見事、その紀彗(きすい)殿を称えて、この骸(ガイ)の巨像を贈る、じっくりと見て、目に焼きつけろ、いいか紀彗(きすい)、これ以上の惨劇をお前の離眼城で起こしてやる故楽しみにしていろという内容であった。それを聞き、紀彗(きすい)は猛烈な怒りがこみあげてる。そこに急報が入る。桓騎軍(カンキグン)が離眼城に向かって進軍し出したのだ。
 
 

第482話【離眼(りがん)と趙国(ちょうこく)】

 
桓騎(かんき)は紀彗(きすい)の弱点を知り、趙軍(チョウグン)を混乱させる選択を迫る作戦にでたのだ。
趙軍(チョウグン)金毛(きんもう)は紀彗(きすい)に丘の占有こそこの戦の勝利であり、それを放棄することはあり得ないと諭す。金毛(きんもう)の言うことは最もであり、何一つ間違っていなかったが、紀彗(きすい)も頭では行ってはならないと分かっていた。しかし、そう考えるとこの戦は桓騎(かんき)の掌の上で踊らされているだけになってしまっていることになる。
 
そして、離眼城(リガンジョウ)の城壁にいる兵士は遠くに物凄い数の兵を確認する。鐘を鳴らし、男は全員城壁に登らせ、女子供を地下道へ避難させる。桓騎(かんき)が来たと皆焦るが、来たのは紀彗(きすい)であった。そして、紀彗(きすい)は離眼(リガン)を離れる準備を始める。
 
 

第483話【勝敗の夜ふけ】

 
黒羊戦(コクヨウセン)五日目の午後。飛信隊(ヒシンタイ)は麓で兵を待機させていた。桓騎(かんき)からは丘の趙軍(チョウグン)が桓騎軍(カンキグン)に追い討ちをかけるので、その隙に丘を奪うよう命令されていたのだ。
 
一方、金毛(きんもう)、岳嬰(がくえい)率いる元慶舎軍(ケイシャグン)は丘に留まり、死守の構えを示す。そこに森に潜伏していた桓騎兵(カンキヘイ)が次々と攻め込んだ。趙軍(チョウグン)これを返り討ちにしていたが、砦を突破したゼノウ一家と飛信隊(ヒシンタイ)には適わず敗退したのである。
 
信(しん)は趙軍(チョウグン)が次々に丘から敗走していくのを目にする。岳嬰(がくえい)は死守を宣言するが、金毛(きんもう)はここで命を落とせば犬死にと、慶舎(けいしゃ)の仇を打つためにもここは下がるべきだと説き伏せる。そして、金毛(きんもう)は黒羊(コクヨウ)から撤退し、秦軍(シングン)の完全勝利となった。
 
その頃、桓騎(かんき)は紀彗軍(キスイグン)から狙われていたが、戦わず、四方へ逃走した。紀彗(きすい)は分散したいくつかの桓騎(かんき)軍小隊を討ち、そのまま離眼城(リガンジョウ)へ入った。桓騎(かんき)は再び黒羊(コクヨウ)に戻り、すでに桓騎軍(カンキグン)が占拠した中央丘にゆっくりと登頂したのである。
 
 

河了貂(かりょうてん)は那貴(なき)と今回の黒羊戦(コクヨウセン)の解析をしていた。

 
四日目に飛信隊(ヒシンタイ)が慶舎(けいしゃ)と一騎打ちをしていた頃、桓騎(かんき)はすでに狙いを慶舎(けいしゃ)から紀彗(きすい)に変えており、尋問した捕虜から紀彗(きすい)の素性を聞き出していた。そして、紀彗(きすい)と離眼(リガン)の内情が分かった桓騎(かんき)は丘取りを止めて、趙(チョウ)側にに明け渡し、趙軍(チョウグン)に丘の砦化を進めさせる一方で、黒羊(コクヨウ)の村焼きを行い、民の死体を集め、紀彗(きすい)に見せて、次は離眼(リガン)だと脅した。結果的に、紀彗(きすい)は丘を放棄し、離眼(リガン)民救出に向かい、趙(チョウ)は敗退したのだ。
 
河了貂(かりょうてん)は全貌を明らかにしたところで、こんな勝ち方は昌平君(しょうへいくん)でも李牧(りぼく)でもできないとし、紀彗(きすい)が離眼(リガン)の民のために戦を放棄するかどうかは賭けであり、戦は遊びではないと怒り、戸惑う。だが、那貴(なき)は真似できないからこそ、その圧勝劇も桓騎(かんき)ならではとは話す。丘は獲ってからの砦化も問題であったが、桓騎(かんき)は趙軍(チョウグン)にそれをやらせて、完成に近い形で手に入れたのだ。そして、消耗戦になるはずの丘取りを放棄したお陰で、戦死者の数は開戦前の予測の半分以下であったのだ。
 
 
 
 最後までお読みいただきありがとうございます。
いかがでしたかキングダムの黒羊の戦い。
桓騎(かんき)の怖さを改めて感じた戦でしたね。なんと!味方の被害を最小限に抑え、砦化の仕事は敵にやらせる。しかし、もし飛信隊(ヒシンタイ)が慶舎(けいしゃ)を討ち取ってなかったらと考えても、兵の半分がいなくなってしまったら、いくら慶舎(けいしゃ)でも丘を守りきれなかったかもしれないとも思います。
 
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